本来のDMOと日本版DMOの違い

DMO研修会

白浜町のDMO(デスティネーション・マネージメント・オーガニゼーション)研修会の山田桂一郎先生の講演を聴講しました。

山田桂一郎先生のお話で興味深かったのは本来のDMOと日本版DMOの違い。

本来のDMOは観光だけに特化していなくて、日本版DMOは観光に特化している、ということでした。

デスティネーションは目的地という意味ですが、本来のDMOでいえば、これは観光の目的地だけではありません。

たとえばミカンだったらあの地域のミカンが美味しいよね、とか、あの地域の工芸品いいよね、とか。

観光地でない地域ではその地域の主要な産業で連携して地域として稼ぐのもDMOの役割だと。

観光でも農業でも漁業でも製造業でも、お客様にあの地域のがいいよねと選んでもらえるようにするのがDMOのなすべきことかと。

観光地でもそうでない地域でも、大切なのは地域内の様々な産業の連携。

様々な産業が連携して地域全体で住民にもお客様にも魅力的な地域づくりを進めていくこと。

地域の総力戦で、地域外から外貨を獲得し、また内需を拡大し、地域内で回るお金を増やすこと。

目的は住んでいる人たちの幸せと、地域が豊かになること。

山田桂一郎先生のご著書。藻谷浩介さんとの共著です。

日帰り客について

今井 ひろこ (Hiroko Imai Matsumoto)さんが和歌山大学観光学部の夏期集中講義の 山田 桂一郎 (Kei Yamada)先生の講義を受けて「日帰り客数を見るな!延べ宿泊数を見よ!」とブログに書かれていました。
http://imaihiroko.com/10654

日帰り客について、今から80年ほど前に南方熊楠は次のように述べています。

……旅宿は一向泊り客なく、大阪等より三百人五百人と団体が来たるも、いずれもアンパンから酒まで彼方で買って持ち来たり、ただ席料を支払い、また茶を一茶瓶いかほどと前もって談判の上、一時半時畳の上に座るのみ、朝来たりて午後去るゆえ、宿泊料にならず。気のきいた奴は千畳敷を眺めて、青天井で提帯し来たれる飲食を平らげ竹の皮を捨ててそのまま汽車で大阪へ上るゆえ、土地にびた一文落ちず。
(上松蓊宛書簡、昭和十一年三月二十九日付『全集』別巻一)

地域にあまりお金を落とさずにゴミを落としていく日帰り客の数を、世界で日本だけがカウントしているというのは、どんな事情からなのでしょうか?

当たり前のことですけれども、観光地にとって大切なのは宿泊してくださるお客様です。