人の交わりにも季節あり、熊楠と孫文の「二人セゾン」

欅坂46の3rdシングル「二人セゾン」を聴いて思い浮かべたのが、南方熊楠がロンドン時代の親友・孫文との交友について、孫文の死後に綴った言葉。

ただ人の交わりにも季節あり、……されば小生は以前は孫氏と別懇なりしも、自分の身のふり方上、止むを得ず不通となり申し候。
(1925年9月21日付上松蓊宛書簡『南方熊楠全集』別巻1)

セゾンはフランス語で季節。

君はセゾン……僕もセゾン

今の友情なり愛情なりが、ずっと続くわけじゃない。変わっていくのは仕方ないこと。

生きるとは変わること

だからこそ今ある関係をかけがえのないものとして大切にしなければならないのでしょう。

いい商品を作るために必要な仕組み、組織とは

南紀熊野観光塾

南紀熊野観光塾2日目のグループ討議「いい商品を作るために必要な仕組み、組織とは?」。

組織というのが私には難しくて、グループ討議のなかでは自分の考えをきちんとまとめられなかったのですが、その後また考えてみました。

山田桂一郎塾長から教えていただいた言葉で「地消地産」というのがあります。

地産地消ではなく地消地産。
地域で消費するものは地域で生産する。

地域に積極的に地消地産を促す仕組み、組織が必要であろうと思います。

山田桂一郎塾長がお住まいのスイス・ツェルマットは人口約5700人の小さな村。その小さな村に年間約200万泊の観光客が滞在します。世界に名を知られた高級リゾート地です。

ツェルマットの市街地は自治体の条例によりガソリン自動車の乗り入れが禁止され、市街地のなかを走れるのは馬車と電気自動車だけ。

電気自動車は大手の自動車メーカーではなく、村にあるメーカーが製造やメンテナンスを請け負っています。

地域で消費するものは地域で生産する。

エネルギーも小水力発電と太陽光発電で自前のものを持っています。

地域活性化の基本は、域外から外貨を獲得し、獲得した外貨を地域内で繰り返し繰り返し回すこと。

和歌山県は全体的に見たら工業県。外貨はそれなりに獲得しているのだと思います。それなのに地域が疲弊しているのは、獲得した外貨を地域内で繰り返し繰り返し回す仕組み、組織がないから。

観光でも外貨はそれなりに獲得しているのでしょうが、それでも地域が疲弊しているのは、獲得した外貨を地域内で繰り返し繰り返し回す仕組み、組織がないから。

せっかく獲得した外貨のほとんどを再び域外に出しているから、地域は疲弊し続けるのです。

できるだけ地域のものを買う。地域のものを使う。
地域に積極的に地消地産を促す仕組み、組織が必要であろうと思います。

様々な産業の事業者が参加する住民主体の組織。地域のよりよい未来を目指して、各々の事業者が自立的に動いていける。

古い古いと自国を自慢するが常なる日本人ほど旧物を破壊する民なし

熊野新宮遺跡群アンケート

熊野新宮遺跡群発掘調査説明会のアンケート集計結果をパラパラと。
新宮市はこの貴重な遺跡を破壊するのでしょうか。

古い古いと自国を自慢するが常なる日本人ほど旧物を破壊する民なしとは、建国わずか百三十余年の米国人の口よりすら毎々嗤笑の態度をもって言わるるを聞くなり。
(南方熊楠「神社合祀に関する意見)
http://www.minakatella.net/letters/gosiiken18.html

地域に残された古いものは、古ければ古いものほど大切にしなければなりません。

地域を活性化するには域外から外貨を獲得する必要があります。地域の総合力で稼ぐ。地域の商品を売るには、地域としてのブランドを築くことが必要です。地元の人が地元のことを大切にしていない地域では地域ブランドは築けません。

破壊することは簡単です。だからこそ古いものを守り伝えていることは地域のブランドになるのです。