木の枝にかかる苔

藤原定家の『熊野道之間愚記(後鳥羽院熊野御幸記)』に次のような記述があります(私による現代語訳)。

今日の道は深山で、樹木が多く、苔が生え、木の枝にかかる。藤枝のようで、遠くから見るともっぱら春の柳に似ている。

湯川から発心門までの道中のことです。

木の枝に苔が懸かる光景というのは今の熊野古道では見られないと思いますが、奥山に行くと時々見ることができます。

自然の風景を眺めるときに、苔類、あるいは地位類や藻類のような小さな生き物が風景に微細な彩りを加える重要な美の要素となります。

木の枝に苔が懸かる光景を熊野古道に甦らせることができたらいいなと思います。