熊野本宮大社例大祭で授かった挑花(ちょうばな)

挑花

熊野本宮大社例大祭で授かった挑花(ちょうばな)。

15日午前の本殿祭で神様に供えられる、紙で作った菊の造花。「揚げ花」ともいわれました。
色は白、赤、黄の3色あります。

作った本数は600本。お祭りにお参りされたすべての方に行き渡るだけの本数はご用意していません。

授かれば、この1年は災難なく豊作であるとされます。

今は齋庭神事の後の餅撒きで赤い餅を拾った参詣者に赤い餅と引き換えに挑花が授与されますが、昔は挑花を参詣者たちが奪い合いました。

舞の後、ヤサバキが奉納される。それが終わらぬうちに「揚げ花」の菊花を参詣者らが奪い合う。……この花の争奪の喧噪は、「花ノ窟」から伊弉冉命を歌い、舞い、祝いながら迎える勧請神事とみてよかろう。その後、「餅撒き」が行われ、山伏たちによって柴燈護摩が焚かれる。その間、神輿は大斎ノ原を練り歩く。一段落してから神輿の前で、また、ヤサバキが行われる。
『松原右樹遺稿集 熊野の神々の風景』松原右樹遺稿刊行会、282頁)

今とは少し異なる本宮祭の様子が描かれています。