田辺市文化賞に羽根千恵子さん

田辺市により報道発表がされたので、妻に改めて報告しました。
羽根千恵子さんに田辺市文化賞を受賞してもらえたよ。

和歌山・田辺市文化賞に踊り伝承の羽根さんと紀州松煙墨の堀池さん – 産経ニュース
https://www.sankei.com/article/20231027-AWW23VBUIRNAVMGL26IPM3M2UQ/

羽根さんは今年8月の熊野本宮盆踊り大会で私の妻を偲んで大瀬の太鼓踊りを踊ってくれた大瀬太鼓踊保存会の代表です。妻は大瀬の太鼓踊りが大好きでした。

私は田辺市文化賞推薦委員会委員として次のようなことを訴えました。

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羽根氏は熊野本宮伝統芸能教室・熊野本宮伝統芸能子ども教室や大瀬太鼓踊保存会の代表として、消滅の危機に晒されている地域の郷土伝統芸能の保存に尽力されている。

熊野本宮伝統芸能教室や子ども教室では、平治川の長刀踊や大瀬の太鼓踊などを継承している。

平治川地区の盆踊りで踊られた長刀踊は県指定無形民俗文化財であるが、平治川はすでに消滅した地区である。

大瀬地区の盆踊りで踊られた太鼓踊も同じく県指定無形民俗文化財であり、また国選択無形民俗文化財でもあるが、大瀬は世帯数数戸の消滅が眼前に迫った地区である。これらの郷土伝統芸能は熊野本宮伝統芸能教室等の保存活動がなければ、すでに消滅していたかもしれない。

郷土伝統芸能は一度消滅してしまえば、復活はほとんど不可能であろう。すでに消滅した地区や消滅しつつある地区の郷土伝統芸能を継承し、保存する活動は地域の文化の豊かさを守るうえで重要な取り組みである。地域の郷土伝統芸能の保存活動を中心となって行っている羽根氏の功績は大きい。

郷土伝統芸能は通常地区の人達により継承されるものであり、市民への広範な広がりはなく、田辺市文化賞には相応しくないと考えられる傾向があると思われる。

しかしながら現在全国で多くの郷土伝統芸能が消滅の危機に瀕している。郷土伝統芸能は人が行うものであり、行う人がいなくなれば消滅するものである。田辺市でも今後、10年後、20年後にはいくつもの郷土伝統芸能が消滅するのであろう。

地域の人口減少を鑑みれば、消滅は避けられないことかもしれないが、それでも未来に伝えるために努力することは価値あることなのだと、田辺市文化賞を通じて田辺市が市民に向けて伝えることができればと思う。

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田辺市文化賞推薦委員会で審議して、羽根さん(と他にもう1名)を文化賞候補者として推薦することを田辺市長に答申し、その後、正式に決定し、この度の発表となりました。

正式に決定し発表されるまでしばらく間があり、時には本人が受賞を辞退されることもあるので、今回、羽根さんに田辺市文化賞を受賞していただけて本当に嬉しく思います。

ぬばたまの

ヒオウギの種子、ぬばたま。きれいな黒色。

「ぬばたまの」は、ぬばたまが黒いことから、黒、黒髪、夜などに掛かる枕詞。

現(うつつ)には逢ふよしもなし ぬばたまの夜の夢(いめ)にを継ぎて見えこそ

『万葉集』大伴旅人

訳)現実には逢う方法はまったくないので、夜見る夢の中に絶えず姿を見せに来てほしい。