那智の滝の保全

那智勝浦町では今年1月に町長の諮問機関で「那智の滝保全委員会」が設置されました。今月5日に第1回の会議があって、町長が「那智の滝が流れる姿を未来永劫守っていかねばならない」というような挨拶をされたようです。
http://www.agara.co.jp/sp/news/?i=365470

今から100年ほど前に南方熊楠は、那智の滝の背後の山林を伐採したら那智の滝の水源は涸れ尽くすだろうと伐採に反対しました。

さて霊山の滝水を蓄うるための山林は、永く伐り尽され、滝は涸れ、山は崩れ、ついに禿山となり、地のものが地に住めぬこととなるに候。
松村任三宛書簡、明治四十四年(1911年)八月二十九日付『全集』七巻)

そう熊楠は警告し、那智の滝の水源林の保全を訴えました。

熊楠が100年前に行ったことをいま私たちは追いかけています。私たちはまだまだ全然熊楠に追いつけていません。

今日2月6日はお燈まつり

今日2月6日はお燈まつり
梅原猛さんと中上健次さんの対談集『君は弥生人か縄文人か』から。

梅原 …しかしすごい祭りだなあ。山の上であの火をみんながつけているとこ見ると、やっぱりこの世のものじゃない。この世の国じゃないですね、あれは。やっぱり霊の国だなあ。非常に原始的な祭りですね。火というものを人類が発明した、その喜びを伝える祭りですわ。ちょっと感動したね。こんな単純な祭りないわけよ。
中上 そうですね。
梅原 ほんとに。
中上 上って下りる (笑)。
(梅原猛、中上健次『君は弥生人か縄文人か』集英社文庫、43-44頁)

お燈まつりは、山上で火をおこして松明にともして下界に帰ってくるという、とてもシンプルな火祭りです。そのシンプルさは人類の祖先の火の獲得・火の発明を思わせます。

日本の火祭りの原初的形態はお燈まつりのような形であったのではないでしょうか。