猫の頭を占いに使う巫女

昨日2月22日が猫の日だったので猫のことを南方熊楠の本で調べていたのですが、猫の頭を占いに使う巫女の話が書かれていました。

この人の言うには、三毛猫を縛りおき鰹節を示しながら食わせず、七日経るうちにその猫の欲念その両眼に集まる、そのときその首を刎ね、その頭を箱に入れて事を問うなりとのことなり。

大正元年12月28日付柳田國男宛書簡『南方熊楠全集』第8巻、平凡社、338頁

明治初期にいわゆる巫女禁断令で巫女による託宣や占いは禁止されましたが、それでも明治末期くらいまでは密かにこのような巫女が存続していたようです。

熊楠は、猫の頭というのは実際の方法を人に知らせないために言っていることで、実際には人の頭を使うのではないかとも推測しています。

2月23日は富士山の日、熊野地方にもあるご当地富士山

三里富士

今日2月23日は富士山の日。

写真中央に写っているのは百前森山(ひゃくぜんもりやま:782.7m)。

熊野地方にあるご当地富士山(郷土富士、ふるさと富士)。和歌山県三里村(現・和歌山県田辺市本宮町)の麓から見ると富士山のような形に見えることから三里富士(みさとふじ)と呼ばれます。

ちなみに富士山の見える最遠の地とされる地点は熊野にあります。
和歌山県那智勝浦町口色川の色川富士見峠(小麦峠から2008年9月18日に名称変更)。その距離322.9km。
富士山最遠望写真

本日2月22日は猫の日なので『熊楠と猫』

熊楠と猫

本日2月22日は「にゃん、にゃん、にゃん」で「猫の日」なので、『熊楠と猫』を。

南方熊楠は猫好きであったようです。熊楠の猫エピソードでよく紹介されるのがアメリカ時代の出来事。

小生二十二、三のとき、米国ミシガン州アナバという小市の郊外三、四マイルの深林に採集中、大吹雪となり走り帰るうち、生まれて一月にならぬ子猫が道を失い、雪中を小生に随い走る。小生ちょうど国元の妹の訃に接せし数日後で、仏家の転生のことなど思い、もし妹がこの猫に生まれあったら棄つるに忍びずと、上衣のポケットに入れて走りしも、しばしばしばそれより出て走る。小さいものゆえ小生に追いつき能わず哀しみ鳴く。歩を停めて拾い上ぐ。幾度も幾度もポケットに入れしも、やがてまた落ち出る。

昭和8年1月28日付、岩田準一書簡『南方熊楠全集』第9巻、平凡社、172-173頁

妹の生まれ変わりかもしれないと思ったこの子猫を、熊楠は結局救えませんでした。

この書簡を書いたとき熊楠は60歳を過ぎていましたが、「今も惆恨致し候」と、救えなかったことを悔やんでいました。