幸田露伴に「日本一美味の鮨」と言わしめた縄巻鮨が復元されました!

今日は、南方熊楠顕彰館での座談会「熊楠の好物を味わう」を聴きに行きました。

一番の目当てはグリル食菜ギャレットの赤堀展也さんによって復元された縄巻鮨(なわまきすし)!

熊楠が贈答品に使った田辺の名産品。昭和10年代後半に失われた幻の鮨です! すごいです!!

熊楠の大正10年4月9日付の上松蓊(うえまつ しげる)宛書簡に、

四月の『現代』に、幸田露伴氏、紀州田辺に過ぎたるもの二つ、南方熊楠君と日本一美味の鮨とあり。この美味の鮨とは前日差し上げたる縄巻鮨のことと存じ候。
(『南方熊楠全集 別巻1』平凡社、82頁)

とある縄巻鮨。

田辺ならではの名品で、日持ちがして、見た目もユニークなので、遠方にいる人への贈答品には最適だったのでしょう。

熊楠の昭和5年3月19日付の白井光太郎宛書簡には、

山の芋にてこの鮨を作るに長芋とつくね芋は粘り多しとかにて、さらに用うるに堪えず、自然薯のみ用うるに堪ゆ。……またこの鮨用の魚はサゴシ(サワラの若きもの)に限る。……サゴシの骨を去り上図のごとく自然薯のすりつぶした西洋料理の mash をサゴシの皮肉でつつみバレンの葉でまき、その上を縄でまといおくときは、醗酵してすしとなるなり。アップル(苹果)の熟せしような臭いなり。
(『南方熊楠全集9』平凡社、526頁)

とあります。縄巻鮨は米ではなく自然薯を使います。

イグサの縄で巻くので、その縄を作らなければならないのがいちばん大変なのだそうです。

手に持ってみたらずっしりと重たかったです。

大正9年頃に1本3円以上した縄巻鮨ですが、いま販売するなら1本1万円だそうです。ものすごく手間隙がかかっています。

グリル食菜ギャレットさんでは5月10日から期間限定で、要予約で夜の営業時間のみ「熊楠御膳」を提供されます。熊楠がよく食べたビーフステーキや茶粥、そして縄巻鮨。お値段は3,000円だったか3,500円だったか、覚えていませんが、そのあたりです。