熊野地方の梅雨の風物詩、天国の光のキノコ、シイノトモシビタケ

梅雨入りしてシイノトモシビタケが見られるようになりました。

熊野地方の梅雨の風物詩である光るキノコ、シイノトモシビタケ。

シイノトモシビタケの学名は、Mycena lux-coeli(ミケナ ルックス – コエリ:天国の光のキノコ)。

その学名は浄土の地とされた熊野に似つかわしく、実際に熊野はシイノトモシビタケの世界最大の生息地帯です。

シイノトモシビタケが発見されたのは東京の八丈島で1951年のことですが、南方熊楠顕彰館の収蔵庫には1903年に那智で採集されたシイノトモシビタケの標本が保管されています。シイノトモシビタケは発見される48年前に那智で採集されていました。

シイノトモシビタケの生息地は熊野の大切な宝物です。

写真はすべて妻が撮影したもの。

シイノトモシビタケ
2013年撮影
シイノトモシビタケ
2014年撮影
シイノトモシビタケ
2014年撮影
シイノトモシビタケ
2015年撮影
シイノトモシビタケ
2016年撮影
シイノトモシビタケ
2016年撮影
シイノトモシビタケ
2017年撮影
シイノトモシビタケ
2019年撮影

シイノトモシビタケについて詳しくはこちら

山姥の髪の毛!

山姥の髪の毛!

こんなに長いのは初めて見ました!

山姥の髪の毛!

その正体はキノコ。キノコの菌糸が束になってひも状になったものです。

山婆の髪の毛と那智の辺で呼ぶ物を予はたびたび見た。水で濡れたときは黒く、乾けば色はやや淡くなって黄褐を帯び、光沢があり、やや堅くなる。長さは21〜24cm、また30cmにも及ぶ。杣人などに聞くと、ずっと長いものもあると言う。予が見たのは木の枝に生え垂れ懸かっていて女の髪のようであった。…

予が那智山中で初めて見たときは奇怪に思ったが、近づいて取って検鏡して、たやすくそれがマラスミウス属の根様体(リゾモルフ)であることを知ったが、その後、植物学会員宇井縫蔵氏が近野村で取って来たのを貰うと、予想通りマラスミウス属の傘状体(ピレウス。俗にいうキノコの傘)がひとつ生じてあった。

南方熊楠「山姥の髪の毛」(口語訳)

私が見たこれは木の枝に生え垂れ下がって、長さは1m以上ありました。

山姥の髪の毛
山姥の髪の毛

昔は神社やお寺などに奉納されて社寺の宝物となることもあったそうです。ありがたいものを見させてもらいました。

山姥の髪の毛がキノコであることを日本で初めて明らかにしたのはたぶん南方熊楠です。「山姥の髪の毛」は『南方熊楠全集 第2巻』や『南方熊楠コレクション 森の思想』に所収。