不正直と不浄心

南方熊楠は神社合祀についての文章のなかで、友人ディキンズからの手紙の内容を紹介しています。

……数年前大博士シャラーの『若き日本』に、「勇武、忠義、敏捷、精通、自抑はまことに日本人の美質で、ずいぶん感心だが、ここに日本人の肺肝に深く食い込んで到底抜け難い大悪質が二つある。不正直と不浄心だ。一つあってさえいかなる大国民をも亡ぼすに足るものを、二つまで兼備しおる」と言っておる。神教を起こすなど称し、宛てにならぬ基本金の多寡を標準として、かりそめにも皇祖皇宗から一国一地方に功績ある神霊の古社を滅却せしむる輩の不正直、不浄心は見え透きおる。
(南方熊楠「古社の滅却」)

日本人の大悪質。不正直と不浄心。

これは百年ほど前の文章ですが、今でもそうなんだろうなと、耳が痛く、恥ずかしく思います。