和歌山県はかつて日本一のアヘンの生産地でした

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ケシ坊主(果実)に傷をつけて樹脂を採取する
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阿片(アヘン)やモルヒネ、ヘロインの原料となるケシ。
ケシから採取される阿片汁を乾燥させたものを生阿片(しょうあへん)といいますが、生阿片からアヘンが作られ、アヘンからモルヒネ、モルヒネからヘロインが作られます。

昭和初期、和歌山県は日本一の生阿片の生産地でした。有田郡、日高郡が中心ですが、熊野地方でも生産されました。

1928年(昭和3年)の統計だと和歌山県の農家から出荷された生阿片の量は8091.8kg。全国の生産量の63.1%が和歌山県産でした。

稲の裏作でケシが栽培され、ケシ坊主(ケシの果実)から阿片汁を採取する作業は子どもや女性が中心となって行いました。採取時期には学校が休校となって作業に従事しました。

村井章介 監修、海津一朗 ・稲生淳 編著『世界史とつながる日本史 紀伊半島からの視座』を読んで、初めて知ったこと。和歌山県民ながら、こんな歴史も知りませんでした。

アヘンの生産は国策として行われ、やがて日本は世界一のアヘン生産国となりました。国内や植民地では専売制を敷き、また中国には密輸して、アジア諸国に中毒者を生んで大きな利益を上げ、国家財政を潤しました。

1935年(昭和10年)には日本のモルヒネ生産額は世界4位、ヘロイン生産額は世界1位(世界の生産額の4割)。またコカの葉から作られるコカインの生産額も日本は世界1位でした。日本は世界一の麻薬生産国だったのです。

こんなこと、学校では習わなかったなあ。今の子どもたちは教えてもらえているのかな。

日中戦争はもうひとつのアヘン戦争でした。