土建国家モデルの本質は、地方と低所得者への雇用機械の提供を通じた再分配と減税による中間層への所得還付です。社会資本整備の名の下に地方と低所得者の雇用を創出し、都市中間層には現金をバラ撒くことで、再分配に納得してもらう。そして貯金をさせて万が一の時や教育・社会保障の自己負担に備えさせるのです。再分配にせよ、所得還付にせよ、前提にあったのは雇用です。「働かざる者食うべからず」ではないですが、働くこと、所得があることを前提にあまねくバラ撒くことで成立した社会保障のシステム。それが土建国家モデルでした。”稼ぎをセーフティネットにした社会保障のシステム”と言い換えても良いでしょう。

井上岳一『日本列島回復論 この国で生き続けるために』新潮選書、55〜56頁

1970年代初頭から日本が行ってきた公共事業によって地方や低所得者層へ富の再分配を行うという「土建国家モデル」は21世紀に入って終焉しました。

これまでの富の再分配方法が機能しなくなったにもかかわらず、政府は新たな富の再分配の方法を作りませんでした。そのため、かつては「一億総中流」とまでいわれた格差の小さな社会を築き上げた日本でしたが、今では貧富の格差が拡大し、「上級国民」と「下級国民」とに社会が分断されつつあります。

およそ3割の世帯が貯蓄ゼロ世帯となり、「稼ぎをセーフティネットにした社会保障のシステム」は成り立たなくなりました。

それに加えて今のコロナ禍です。コロナ禍により下級国民はさらに追い詰められます。

国民の命と生活を守るために政府は早急に新たな富の再分配の方法を作るべきです。