「み熊野」という言葉

「み熊野」という言葉ですが、これはとても大切な言葉です。

「み」は神のものを表わす接頭語で、「み」が冠された地名は古代では「み熊野」と「み吉野」と「み越路〔みこしじ:越の国(越前・越中・越後の三国)〕」の3つのみ。

神聖な土地に「み」が冠されました。「み」にはその土地に対する畏敬や憧憬の念が込められているのです。

招霊木(オガタマノキ)の花

オガタマノキ
招霊木(オガタマノキ)の花が花盛り。
 
オガタマノキは、神道に古く因縁深い木であるが、九州に自生している箇所があるというが、その他に大木あるのは紀州の社地だけである。合祀のため著しく減じた。
(南方熊楠「神社合祀に関する意見」、私による口語訳)
 
本月23日の本紙(『牟婁新報』)に、七川平井にオガタマの木があり、古え安倍晴明がこの村にとどまったとき、手植えした物ということが見える。このオガタマの木は、本邦南部諸国に産し、紀州では竜神辺に自生がある、というのが故伊藤圭介先生の説である。予が知るところでは、当郡瀬戸の藤九郎神社に1〜2丈の大木が数本あり、また25年前、日高郡和田浦の神社に1本あるのを見た。まだ他にもあるだろう。葉は平滑、光沢があり、長楕円状、倒卵形、また倒披針形、長さ5〜6分、実叢長さ1〜2寸、ちょっと見たところ松かさのようで、赤い実が多くその中から露出し、美しい。
南方熊楠「オガタマの木について」、私による口語訳
 
東牟婁郡七川村平井という所の神林には晴明の手植えの異樹があり、誰もその名を知らず、枝を折って予に示すのを見るとオガタマノキだった。
南方熊楠「紀州俗伝」、私による口語訳
オガタマノキ

地域おこし協力隊について思うこと

この記事、たぶん数万人の人に読まれていますので、本宮町に暮らすIターン者として、私もちょっと一言。
私が地域おこし協力隊を辞めた理由 – 熊野暮らし / Kumano Kodo World Heritage Life

地域おこし協力隊って、田舎に縁もゆかりもない若者が田舎に移住するきっかけとしてはいい制度だとは思います。

そもそも縁もゆかりもない人には田舎では家を借りることすらできません。空き家はいっぱいありますが、家を貸したら隣近所に迷惑をかけたりしないかとか、いろいろ気にすることがあるので、家主としては知らない人にはなかなか貸せません。

ですので、若者が田舎に移住するきっかけとしては地域おこし協力隊はよい制度だと思います。

ですけれど、地域おこし協力隊は行政が行なっていることなので、地域活性化にはつながりにくいように思います。地域活性化というのは稼ぐこと。地域にあるヒト・モノ・カネを活用して稼いで、お金を地域内で繰り返し繰り返し回すこと。地域内消費額を増やすこと。

行政は稼いではいけないので、行政主体の取り組みではなかなか地域活性化につながっていきません。

地域活性化は民間が主体で、行政ができるところで支援するという形でないと難しいのではないでしょうか。

行政主体の住民参加ではなく、住民主体の行政参加の形が、地域活性化につながっていく取り組みなのだろうと思います。