『BIOCITY (ビオシティ)』70号、南方熊楠特集号に!

BIOCITY

4月3日発行の、環境から地域創造を考える総合雑誌『BIOCITY (ビオシティ)』70号、南方熊楠特集号に川廷昌弘 (Masahiro Kawatei)さんの写真が!
http://bookend.co.jp/?p=558

表紙はもちろん他に口絵などにも、川廷さんが撮影された写真が使われています。

表紙のオオタニワタリの写真は、力があっていいです。
そして、この表紙の裏に、私が書いた短い文章が掲載されています。

つまり表紙をめくって最初に出てくる文章が私の文章です!

BIOCITY

書店でこの本を見かけたら、ぜひ手に取って表紙をめくって見てください!

熊楠に思いを寄せる川廷さんという素晴らしい写真家に出会えたことは私にとっても幸運なことでした。

川廷さんと、『BIOCITY』編集長の藤元由記子さんに感謝。

和歌の世界では熊野といえば恋

三輪崎漁港

以前に「熊野地方で恋愛に関連する場所ってありませんか」と聞かれたことがあるのですが、そのときは思い付かなくて答えられませんでした。

でも、よく考えてみたら、和歌の世界では熊野といえば恋です。

建保3年(1215)に成立した、全国の名所100ヶ所を春・夏・秋・冬・恋・雑の6つに分類して和歌1200首を収めた歌集『建保名所百首』では「み熊野の浦」は恋の部に入れられています。

み熊野の浦、熊野の浦を和歌に詠み込むときは基本的に恋の歌になるのです。

  • み熊野の浦より遠(をち)に立つ霧のはれぬ思ひをなほやへだてむ(913 順徳院)
  • 昔より玉かとのみぞみ熊野の浦までとほる袖の涙を(914 行意)
  • ときのまの夜はの衣の浜木綿やなげきそふべきみ熊野の浦(915 定家)
  • 日にそへて人の心をみ熊野のつらさかさなる浦の浜木綿(916 家衡)
  • へだつともふきたにかよへみ熊野の浦より遠の八重の潮風(917 俊成女)
  • み熊野の浦の浜木綿とへかしと思ふ嘆きはなほそかさなる(918 順徳院兵衛内侍)
  • み熊野の浦の浜木綿白妙の袖のわかれも祈り重ねよ(919 家隆)
  • いくたびかいそへのしほのさしながらつらき心をみ熊野の浦(920)
  • ちきりしにあらぬつらさをみ熊野のあはでつきひや浦の浜木綿(921 知家)
  • み熊野の浦の浜木綿いくよ経ぬあはぬ涙を袖に重ねて(922 範宗)
  • み熊野の浦の浜木綿たつ波の世にふる袖を人にとへかし(923 行能)
  • 忘らるる身こそはあらめみ熊野の浦のかひある名をばとどめよ(924)

ハマユウ

和歌の世界では「み熊野の浦」といえば浜木綿(ハマユウ)が連想されます。ハマユウは海辺に生えるヒガンバナ科の多年草。葉が幾重にも重なっていることから、「あなたへの思いが幾重にも重なっています」というときに「み熊野の浦の浜木綿」が詠み込まれます。

み熊野の浦
http://www.mikumano.net/uta/ura.html