持続可能な開発目標5を熊野で

持続可能な開発目標5

2015年9月の国連総会で採択された『我々の世界を変革する: 持続可能な開発のための2030アジェンダ』。

持続可能な社会を作るために2030年までに達成すべき具体的な目標が17ありますが、その目標5が「ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う」。

ジェンダー平等を、2030年よりももっともっと早い時期にとりあえず熊野だけでも実現できないかな。

熊野は古くから女性の参詣を積極的に受け入れてきた場所であり、戦国時代には熊野比丘尼という女性宗教者が熊野信仰を全国に広めてくれました。熊野は女性により支えられてきた場所です。ニシキトベは女性酋長だとされますし、丹鶴姫という女傑もいました。

2015年の数字で、日本の国会の女性議員割合は11.60%で、世界ランキングの順位は189ヶ国中147位。
http://top10.sakura.ne.jp/IPU-All-SeatsP-Female.html

日本の国会の女性議員を増やすのは難しいのかもしれないけれども、市町村の議会だったら、やろうと思えばできると思うのです。

それぞれの性が40%以上を占めなければならないとか決めてしまえばいい。

日本の国会の女性議員割合が10%程度のところを、熊野の、市議会や町議会、村議会の女性議員割合が50%くらいあったらカッコいいし、イメージ的に熊野っぽいな、と思います。

何よりも、女性人口の激減が予測されるこの地域では、地域社会を女性が暮らしやすく活躍できる形に変えていかないと、地域が滅びます。

写真はSDGs.TVの冊子より。

「地球・人類の危機」を救うカギ

熊野からケルトの島へ

「地球・人類の危機」を救うカギは、ケルトと熊野が握っている。

もと朝日新聞記者の桐村英一郎さん(現・三重県立熊野古道センター理事、海の熊野地名研究会理事)は、ご著書の『熊野からケルトの島へ―アイルランド スコットランド』のあとがきで次のように述べています。

南紀に生まれ育った友人から「うれしいけれど、それは買いかぶりだ。過去も現在もそんなに立派ではない」といわれた。そうかもしれない。だが、生まれ育ち東京の私から見ると、国家間の角逐、資本主義と社会主義、キリスト教とイスラム教の対立、温暖化や砂漠化など「地球・人類の危機」を救うカギは、自然や神々、動物と共生してきたケルトと熊野が握っているように思えてならない。……
(桐村英一郎『熊野からケルトの島へ』三弥井書店、215頁)

私も、熊野はそのような場所になりうると、同じように考えています。

熊野が「地球・人類の危機」を救うカギを握る場所になるには、さらに熊野がやらなければならないことがあるのではないかと思います。

「今だけ、ここだけ、あなただけ」の商品を生み出す元

南紀熊野観光塾

南紀熊野観光塾第4期の3回目4回目の日が近づいてきました。

なので、山田桂一郎塾長と藻谷浩介さんの共著『観光立国の正体 (新潮新書)』をパラパラと。

山田 「地消地産」の話は、ダメなところほど受け入れて貰えないんですよ。

藻谷 ……顧客目線で考えれば当たり前のこの話が、なぜか驚くほど伝わらない。

山田 現場では、少しでも利益を上げるために安い食材を使おう。同じデザインで同じものなら原価が安いほうがいい、という考え方が非常に根強いですね。

藻谷 それに対する解答は、「原価がちょっと高い地元産を使って値段を2割上げる工夫をしなさい」なんですね。客は「今だけ、ここだけ、あなただけ」を求めて来ているんだから、そもそも「ここだけ」がなきゃ客に訴求しない。……

(藻谷浩介・山田桂一郎『観光立国の正体』新潮新書、225~226頁)

「原価がちょっと高い地元産を使って値段を2割上げる工夫をしなさい」というのは、観光客の目線で考えたらもっともな話ですが、これを事業者がやるには地域への愛と誇りが必要なんだろうなと思います。

自社の利益だけ得られればいい、自分の代だけどうにかなればいい、そのあとは地域がどうなっても知らない、と考えているような人だと、その「工夫」ができない、というか、そもそもしようとも思わない、のではないでしょうか。

地域で消費するものはできるだけ地域産のものを使うという「地消地産」は地域活性化の基本だと思いますが、それには「工夫」が必要。

その「工夫」を生み出すのが、地域への愛と誇りなのだろうと、私は思います。

山田塾長が住まわれているスイス・ツェルマットは「電気自動車と馬車の村」として知られていますが、ツェルマットでは電気自動車も地域内の工場で作っています。

地域で消費するものはできるだけ地域で生産されたものを使う。
それがお客様が求める「今だけ、ここだけ、あなただけ」の商品を生み出す元となります。