熊野本宮の巫女が主役の能「巻絹」

観世九皐会12月定例会チラシ
観世九皐会12月定例会チラシ

2019年12月8日(日)、東京新宿、矢来能楽堂にて、熊野本宮を舞台とした能「巻絹」が演じられます。

千疋の反物を三熊野へ届けなければ
ならない帝の臣下。
途中の見事な梅に足を止めて
刻限に遅れてしまいます。
顛末やいかに?『巻絹』。

観世九皐会12月定例会 – 矢来能楽堂
謡曲「巻絹」と音無の梅の歌
謡曲「巻絹」と音無の梅の歌 熊野本宮大社旧社地大斎原の西の鳥居の傍らにある案内板

主役は熊野本宮の巫女。熊野本宮において巫女の役割が重要であったことが伺える能です。

また梅の花の歌にまつわるお話なので、『万葉集』第五巻の「梅花の歌」の序文を出典とする「令和」の時代に演じられるのにふさわしい演目です。

音無にかつ咲きそむる梅乃花 匂はざりせば誰か知るべき

(音無の里で音もなくこのように咲き始めた梅の花、匂わなかったならば誰が知ることができようか)

※音無の里は現・和歌山県田辺市本宮町本宮の辺りだと思われます。

謡曲「巻絹」現代語訳

熊野を知るためのオススメ本

2019年11月6日付 紀伊民報
2019年11月6日付 紀伊民報

2019年11月6日付の紀伊民報さんの記事で、私のオススメの1冊として梅原猛さんの『日本の原郷 熊野』を紹介させていただきました。

その記事を読んだ方から「難しくないですか」と聞かれましたが、120ページほどの薄い本で、写真も多く、文章も読みやすいと思います。古代・中世・近世の熊野についてのあらましがざっと書かれた格好の熊野入門書です。絶版なので、読みたい方はネット書店などで古本を探してみてください。

熊野を知るための本としては他に、宗教人類学者の植島啓司さんの『世界遺産 神々の眠る「熊野」を歩く』がオススメです。熊野三山以外に多くの素晴らしい聖地が熊野各地にあることがわかります。

植島啓司さんの本だと熊野だけの本ではありませんが、『日本の聖地ベスト100』もオススメです。

11月30日はゲゲゲ忌

猫楠Tシャツ

11月30日はゲゲゲ忌。水木しげるさんの命日。
2015年11月30日に水木しげるさんは亡くなりました。

水木しげるさんのマンガで私が好きなのは『猫楠 南方熊楠の生涯』。

熊楠の生涯が忠実に描かれています。
幽霊や妖怪が登場しますが、猫や幽霊や妖怪とのやりとりにまったく違和感がないのが熊楠の凄いところです。

水木しげる『猫楠 南方熊楠の生涯』
水木しげる『猫楠 南方熊楠の生涯』

熊楠の生涯を描いたマンガでは間違いなく、この作品が最高傑作です。