熊野地方で採れた玉(ぎょく)

水晶
熊野の山中で拾った水晶

11月14日はいい石の日なので、紀州藩が編纂した地誌『紀伊続風土記』の「物産第一」の玉部より熊野地方で採れた玉(ぎょく:美しい石)をご紹介します。

○水晶(スイショウ) (本草○和名抄にミズトメタマ)

 牟婁郡周参見荘の広瀬山及び見老津村の山中で産する。みな形は小さくて鮫(サメ)水晶、針(ハリ)水晶と呼ぶものである。大きなものはいまだ見ない。

○猫睛石(トンホダマ) (格古要論○西洋から来るトンボダマとは別である)
 牟婁郡那智荘の二色浜に稀にある。

玉部:紀伊続風土記(現代語訳)
水晶
熊野の山中で拾った水晶

現存する文献の上では熊野縁起最古のものである『長寛勘文』に記載された「熊野権現垂迹縁起」では、熊野権現はまず英彦山に八角形の水晶の姿で天降ったと語られます。

昔、甲寅の年、唐の天台山の王子信 (おうししん:王子晋。中国の天台山の地主神) の旧跡が、日本の鎮西(九州)の日子の山峯(英彦山 ひこさん)に天降りになった。その形は八角形の水晶の石で、高さは3尺6寸。そのような姿で天降りになった。それから5年が経った。

「熊野権現垂迹縁起」(現代語訳)

猫睛石(びょうせいせき)は猫目石(ねこめいし)。金緑石(クリソベリル)の変種。猫目石は拾ったことありません。