切目王子のものがたり

切目王子のものがたり
『切目王子のものがたり』 ふるさとの歴史を学ぶ会(うらしま会)

『切目王子のものがたり』を見せていただきました。
和歌山県印南町切目の歴史を学ぶ有志でつくる「ふるさと歴史を学ぶ会(うらしま会)」が今年5月に発行した冊子。

平安末期から鎌倉期にかけて成立した切目王子と伏見稲荷大社との結びつきを記す『宝蔵絵詞』の内容を子供にもわかりやすいように紙芝居に仕立てたものを冊子化したものです。

なぜ切目王子は片足になったのか。なぜ熊野詣の帰りに参詣者はきな粉の化粧をしたのか。この冊子を読めばわかります。

切目王子はもともと金剛童子と呼ばれて熊野権現に仕えていたが、あることがきっかけで守っていたお坊さんを殺してしまい、権現から罰として右足を切り落とされ、切目の山に捨てられて切目王子と呼ばれるようになった。
王子は怒りと悲しみから、熊野の参詣者を襲う恐ろしい神になり果て、権現は人々を守るために稲荷大明神に相談。大明神に仕えるキツネの精霊と金剛童子が仲が良く、王子は言うことを聞くようになった。しかし、大明神の信者を見分けることができず、それなら目印に信者の顔に化粧をすればということになり、豆の臭いが嫌いな王子が「きな粉を塗って化粧をした人は襲わない」と約束した。大明神と権現は「熊野から帰る人は顔にきな粉を塗るように」と言い、王子は悪さをしなくなった。このきな粉で化粧をする風習が節分の豆まきの元になったという。

歴史のロマン満載 切目王子の物語が漫画に:紀伊民報AGARA

興味深い内容なので、もっと多くの人に知ってもらえたらよいなと思います。

伏見稲荷大明神に仕えるキツネの精霊の名は阿古町(あこまち)。伏見稲荷大社境内社の白狐社にお祀りされる神様です。

切目王子は熊野九十九王子のうちで別格的な存在です。