H・G・ウェルズの『宇宙戦争』の火星人と、熊野の妖怪・肉吸い

上の動画は、H・G・ウェルズが1898年に発表したSF小説『The War of the Worlds(宇宙戦争)』を、スティーヴン・スピルバーグ監督が映像化し、2005年に公開した映画の予告篇。

『The War of the Worlds』は刊行からすでに100年以上が経つ宇宙人侵略ものSFの古典中の古典です。

このSF小説を南方熊楠は読んだらしく、熊野地方の妖怪・肉吸いについての文章の中でその内容に触れています。

熊楠はかつて20年前に出たウエルズか誰かの小説で、火星世界の住人がこの地球に来て乱暴する体を述べて、火星人は支体にタコの吸盤のような器を具し、地上の人畜に触れてたちまちその体の養分を吸い奪い、何とも手に合わないところ、かの世界に絶えて無く、この世界に有り余ったバクテリアがかの妖人を犯して苦もなく倒し終わるとあったと記憶するが、その他に類似の話を聞いた事がなく、肉吸いという名も例の吸血鬼などと異なりすこぶる奇抜なものと思う。

肉吸いという鬼 紀州俗伝(口語訳15-3)

肉吸いは人に触れるとたちまちことごとくその肉を吸い取るという妖怪。18,9歳の若い美女の姿でホーホー笑いながら近づいてくるといわれます。

「紀州俗伝」は『南方熊楠全集』第2巻に収録されています。