鵺の霊と和泉式部の歌

2016-04-11Chomeiji temple-Nishiwaki,Hyogo 長明寺(西脇市)源頼政鵺退治 DSCF8448.JPG
松岡明芳投稿者自身による作品, CC 表示-継承 4.0, リンクによる

本日3月21日は和泉式部忌。平安時代中期の歌人・和泉式部の命日とされる日。

和泉式部の歌で初めて勅撰集に採られたのは下記の歌。

くらきよりくらき道にぞいりぬべき遥に照らせ山のはの月

『拾遺和歌集』巻第二十 哀傷 1342

(訳) 性空上人のもとに詠んで遣わした歌。私はいま闇の世界を無明の世界に向かって進んでいるような気がします。どうか上人さま、はるか彼方からでも、あの山の端の月のように、私の足下を照らして導いてください。

源頼政に討たれた鵺の霊と熊野から京を目指す旅の僧が登場する世阿弥作の能「鵺(ぬえ)」では終曲部分に和泉式部の歌が引用されます。

謡曲「鵺」

旅の僧に救済を求める鵺の霊の心情を、引用されたこの歌が表現しています。

この歌は和泉式部の歌で初めて勅撰集に採られた歌。少女時代の作とされますが、罪障深い和泉式部がこの歌によって和泉式部は成仏したというお話もあります。