南方熊楠が主人公の伝奇ロマン『ヒト夜の永い夢』読了

武将の名を名乗るSF作家・柴田勝家さんの『ヒト夜の永い夢』(ハヤカワ文庫JA)、本編、スピンオフ前日譚を含めて『ヒト夜の永い夢』を読了。

南方熊楠が主人公で、佐藤春夫や植芝盛平が登場します。熊楠と植芝盛平は田辺市名誉市民、佐藤春夫は新宮市名誉市民。他に岩田準一、岡崎邦輔、孫文、福来友吉、江戸川乱歩、北一輝、宮沢賢治、石原莞爾などが登場。登場人物だけでヤバそうな雰囲気がしますが、内容は期待を裏切らず、ぶっ飛んでいました。

北一輝 vs. 南方熊楠!
熊楠の研究によって作り出された粘菌コンピュータを搭載した自動人形「天皇機関」!
天皇機関を止めるために新たに作られた自動人形「粘菌機関」!
天皇機関 vs. 粘菌機関!
共に熊楠が作り出した粘菌コンピュータを搭載する2つの自動人形がぶつかります!!

那智の滝の保全

那智勝浦町では今年1月に町長の諮問機関で「那智の滝保全委員会」が設置されました。今月5日に第1回の会議があって、町長が「那智の滝が流れる姿を未来永劫守っていかねばならない」というような挨拶をされたようです。
http://www.agara.co.jp/sp/news/?i=365470

今から100年ほど前に南方熊楠は、那智の滝の背後の山林を伐採したら那智の滝の水源は涸れ尽くすだろうと伐採に反対しました。

さて霊山の滝水を蓄うるための山林は、永く伐り尽され、滝は涸れ、山は崩れ、ついに禿山となり、地のものが地に住めぬこととなるに候。
松村任三宛書簡、明治四十四年(1911年)八月二十九日付『全集』七巻)

そう熊楠は警告し、那智の滝の水源林の保全を訴えました。

熊楠が100年前に行ったことをいま私たちは追いかけています。私たちはまだまだ全然熊楠に追いつけていません。